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曝露試験を開始したきっかけ④ ~佐々木のインタビュー~

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促進耐候性試験の5000時間の照射は、野外でしかも千葉県という地で1年半でダメになった。千葉県というか全国で1年半でダメになったということが分かったら、「5000時間って何だったんだろうか!?」と思いました。塗料Aのメーカーは、促進耐候性試験5000時間をクリアしたと言っていますが、実際は入れてないかも知れないじゃないですか。それは誰が証明できるのか。誰も証明できないじゃないですか。ちゃんと入れていればダメにならなかったかもしれないし、実際に入れていてもダメになっていたかもしれない。ですがメーカーは最後まで「入れた」と言っていました。
私は、メーカーの営業さんと親しくしていたので問い合わせてみました。「本当はどうなんですか?」と。そうしたら「いや、私も技術の人間に聞いたのですが、ちゃんと5000時間入れたと言っていました。でも佐々木さん、どう思いますか?」と逆に聞かれてしまいまして。ということは、ちゃんと入れていたのだとしたら、促進耐候性試験が全くもってあてにならないということが世の中に証明されたことになりますし、もし入れていたのだとしたら、入れたといって入れてない塗膜なんかは塗料Aのメーカーに限らず世の中にごまんとあるよねという・・・。どっちにしてもリスクだということが分かったのです。
「促進耐候性試験●●時間クリア」というのは、どのメーカーの塗料カタログにも書いてあります。シリコン塗料なら3000時間とか2500時間以上という書き方をしています。よく考えて頂きたいのですが、シリコン塗料や、一番人気の塗料Bで2500時間と書いてあるのです。なのにシリコン塗料や塗料Bを塗っている会社さんは「10年持ちます」「10~12年持ちます」とご提案しているのです。2500時間以上なのに。500時間で1年です。ということは5年以上持ちましたという言い方に変換できるのです。意味が分かりませんよね。
12年以上持ちますというなら、6000時間の照射に耐え抜いた塗料だといって初めて通用するのです。これが検証と事実の突合せになるのです。
検証を2500時間しかしていないのに、12年持ちますというのは「5年までは検証しましたが、その先については仮設だ」ということが言えるわけです。「仮設12年持ちます」と言ってお客様にご提案しているのなら話は分かりますが「12年持ちます」と私たちはお伝えするのです。そういう世界を私たちは司っていて、でも「建物を守る」という意志はあって。だから「まずいな」と感じているのです。
なので宮古島であれば、千葉県の約4倍の紫外線の照射時間プラス赤道に近い場所、かつ塩害という塗膜にとって一番ダメージの負いやすい環境、更に台風という「雨風」に多く晒される環境は、塗膜とって非常に厳しいものと言えます。これらの厳しい環境下での1年は、千葉県での4年に相当すると言われています。言われているというよりも、事実です。これは何で証明されるかというと、紫外線量を測るウィザード機というものがあって、日本ウェザリングセンターという曝露試験場は、旭川と銚子と宮古島にあるのですが、この3ヶ所でいうと銚子が私たちから近いです。銚子のセンターは主に塩害と標準(首都圏)の紫外線を調査しています。3ヶ所とも、各々の場所で紫外線量を測定していて、そこから宮古島は千葉県の約4倍もの紫外線量があるということが分かっているのです。更に銚子と宮古島に検体をよーい!ドン!で置いた場合、宮古島のほうが銚子の4倍早く変退が進んでいくということも分かっているのです。
その結果、4倍紫外線量が多いという計測値が出て、物を置いて物が風化していくスピードも4倍早く進んでいくということは、紫外線量と風化の量は相関が取れているということが分かるわけです。ということは、どれだけ紫外線に当たるかが、ものを劣化させる理屈というか破壊するエネルギー量だということが分かるから、宮古島で4倍早く検証しなければいけない。私たちは建物を10年守らなければいけないのです。ですので、1つの検体に対しての検証は、宮古島でも最低2年は実曝露として置かないと物事が進まないのです。これが促進耐候性試験だとしても5000時間置かないと、物事の良し悪しの判断がつかないのです。
この試験は、本来なら塗料を作るメーカー様たちがやらなければならないのですが前述しましたとおり、機械に入れているのかどうか分からないですし、メーカー様によっては宮古島の曝露試験場を持っている会社と持っていない会社も事実としてあるのです。