パミール屋根のメンテナンス方法について
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パミール屋根のメンテナンス方法
パミール屋根は、2006年ごろまで出荷がされていたいわゆる、数多く出回っている「ノンアスベスト屋根」の1つです。
スレート系の屋根で非常に脆弱で、素材からボロボロと崩れてくる素材です。放っておいても風化が進んで剥がれていき、剥がれたところから水分を含んで冬場は凍結してしまい割れていくという流れができてしまいます。
ユウマペイントでは基本的に、屋根がパミールの場合は、塗り替えでのメンテナンスは不可としています。
パミール屋根は塗装できないわけではない
ユウマペイントではノンアスベスト屋根は「塗装では守れない」ため、カバー工事か葺き替えでのご提案をさせて頂きますが、厳密に言うと「塗装ができない」わけではありません。結果的には素材自体から剥がれてしまうのですが、まったく塗装をしてこなかったパミール屋根と、塗ってしまったパミール屋根の劣化具合を検証する機会があったので検証した結果、「塗ってしまったパミール屋根」のほうが劣化の速度が遅いということが分かったので、「劣化を少しでも遅らせる」意味では塗装の意味があると思います。
「塗装で建物を守る」というユウマペイントの概念とは異なりますが、「塗れば気休めになる」と言われたとしたらそれもアリと思います。
パミール屋根の劣化症状
屋根がパミールだった場合、カバー工法か葺き替えでのご提案になりますが、その判断をどこでしているかというと、下地の状態です。
劣化が一定以上進んでしまうと、スレートの下に敷いてある防水紙(ルーフィング)のところに水がまわってしまい、針で留めているようなものから水が入って野地板(一番ベースになるベニヤ板)の木の部分にも水分が滞留して土台そのものを傷めている場合が多いです。数多くあるノンアスベスト屋根の中でもパミール屋根の場合は特に水の吸収が多いです。
野地板が腐ってたり柔らかくなっている場合は、カバー工法ではなく葺き替えをお勧めします。水分を含んでいる野地板に釘を打っても効かない場合があるからです。
全てのノンアスベスト屋根とは言いませんが、野路が有効でないことが多いパミール屋根に関していえば葺き替えをご検討されると良いと思います。
現地調査時に必要な判断材料
最近は現地調査にドローンを使用していることが多いので、野地がどのくらい傷んでいるかというのはあまり把握できません。かといって「梯子をかけて目視で全部見ればいい」というわけにもいきません。素材自体が脆く、簡単に割れてしまうような屋根に人がのぼってしまうと、ひび割れや破損を増やしてしまうからです。現地調査時のヒアリング情報(築年数・メンテナンス履歴・雨漏りの有無など)をもとに、一度判断をしてみる必要があります。
パミール屋根の守り方は2通り
①カバー工法
②葺き替え
先述の通り、パミール屋根にはカバー工法か葺き替えになりますが、野地の状態を考慮するのならば葺き替えを推奨します。
何故パミール屋根は割れるのか
分かりやすい説明として、現在はアスベストによる健康被害は広く知られていますが、その問題が発覚する以前は、アスベストは工業材料として様々なものに使用されてきました。
健康被害が確認され、アスベストが使用禁止になってきた頃に、アスベストを使用しない建材の開発が行われました。その中のひとつがパミール屋根なのですが、この「アスベストが入っていない屋根」自体の強度の問題が割れにつながっていると言われていることが多いですが、諸説ありますが「セメントの混和材の不良」が塗装業界の中では定説として存在しています。
いずれにしても屋根材が風化してミルフィーユのように下の層からボロボロと剥がれてきている様子を見ていると、固まらないような状態であることは分かります。
パミール屋根の場合、基本的に3段階に分かれて捲れていくことが多いです。
①塗装してある塗装面の表層
②真ん中の芯になっているセメントの層
③下の層
という順番に捲れていきます。あとは屋根そのものが中央の芯の風化が進むと全体的に割れが出てきます。
屋根の上のほうから割れてくることが多いです。
台風などの災害時に気をつけるべきポイント
風化が進むとあちこち捲れてしまうので、結果的に素材そのものの耐久性が落ちてきます。
強風時に捲れている部分がバタバタと煽られると、捲れている薄い部分、捲れていない厚い部分が異なる暴れ方をしてしまいます。暴れ方が異なることで、割れが発生してしまいます。割れの状況によっては屋根材の落下につながることもありますので、パミール屋根にお住まいの方でノーメンテナンスの場合は、台風時など被害にご注意いただきたいです。
ノンアスベスト屋根の過去~現在
ユウマペイントは今でこそ、ノンアスベスト屋根に塗装はしないと決めていますが、2008年の創業当時~5年目あたりまではノンアスベスト屋根の存在を知らなかったので塗っていました。
なぜ辞めたかと言うと、ノンアスベスト屋根の存在を知る前に、塗装後の定期点検にて「数年でひび割れが発生している屋根が一定数あること」に気が付いて調べた結果、アスベストが使用されていない屋根に限ってひび割れが出ていることを知ったからです。
写真はパミールではないですが、ノンアスベスト屋根に塗装した後に定期点検に行った際の写真です。
パミール屋根の次に出てきた「コロニアルネオ」「グリシェイドネオ」という屋根材は、いまだに塗装で施工している現場を見かけます。
ノンアスベスト屋根に塗装は効果がないとお伝えしていますが、何が効果がないのか?ということで言うと、表面の割れを(塗膜で)塞いでキレイにすることには成功するかもしれないので一時的には雨水をしのげることになりますが、風が吹いた際に動きますので、動いてしまうともともと割れている表面(塗膜でふさがっているところ)もすぐに割れてしまいます。
そのため「水が浸入する」「耐久も強くなっていかない」ことになります。雨、風、紫外線から建物を守るという意味では、パミール屋根の場合は「塗装で守る」には限界があるのです。
最後に
ノンアスベスト屋根なのかは、住宅購入時には分からないのでお客様には非がありませんが、建てているビルダーさんにも非はありません。当時普通に出荷されていたスレート屋根があり、そのスレート屋根をビルダーさんが購入し建てた住宅がパミール屋根だったということです。
改めてになりますが、パミール屋根が塗装で守るには限界があります。
劣化が進んでいなければカバー工法、進んでいる場合は葺き替えという選択をしていただけたら、大切なお住まいが今後も安心して生活ができるお住まいになると思います。